【新・関西笑談】世界で一つだけのパンを(1)(産経新聞)

 □「ブランジュリ タケウチ」 竹内久典さん

 ■おいしさ求めて北から南から 全国初?ドアマンのいるパン屋さん。

 ベビーカーを押すお母さん、サンダル履きのおじいちゃん、本町界隈(かいわい)のOLにちょっと渋いスーツの紳士−大阪市西区の靱公園の南に、老若男女が吸い込まれていくスポットがある。大阪で、いや関西で、いま一番人気のパン屋さん「ブランジュリ タケウチ」。15坪ほどの小さなお店には、早朝から夕方まで、お客さんの姿がとぎれることはない。ダイエットもメタボも、すべて忘れて、ええい、とパクついてしまうタケウチのパンの魅力にじっくりと迫ってみた。(聞き手 岸本佳子)

 −−大阪にとても人気のパン屋さんがある、と聞いてこちらのお店を訪ねたのはもう何年も前ですが、最初のころは、お客さんがいっぱいで中に入れなかったり、売り切れてシャッターが閉まっていたり。何度も振られて、悔しくて、早朝に来るようになってやっと食べられました。お客さんは8時の開店前から並んでいるんですか

 竹内 土曜日は開店の10分前ぐらいから並んでおられますね。ここは靱公園の前にあるので、公園のところで待機していて、だれか一人が並ぶとあわてて並んで行列になります。

 −−遠方のお客さんですか

 竹内 遠方ですね。昔、電話でパンの予約をとっていたことがあるのですが、電話番号を聞いて、「ええっ、北海道ですか」と驚いたことがありました。北海道から九州まで、遠いところからきていただいています。

 −−どうりで、簡単には食べられないはず(笑)。売り切れたら閉店ですか

 竹内 最終焼き上がりが4時すぎなので、それを待っていただいて、4時半ごろには売り切れることもあります。24時間パンを作っているのですが、間に合わないのです。本当に申し訳ないのですが。

 −−お店の入り口に、いつも警備員さんがいらっしゃいますよね。ドアマンのいるパン屋さんなんて、全国でも珍しいだろうな、といつも思っているのですが。

 竹内 そうですね(笑)。オープンして2年ぐらいたつと、お客さんがどんどん増えて、自転車などが迷惑にならないよう、整理してもらったり、あとは小さい子供が危ないと感じることもあって、それで、警備の人にきてもらって、人数制限するようになりました。

 −−人数制限といっても、高級ブティックの警備員さんとはずいぶん雰囲気が違って、お客さんと楽しそうにおしゃべりしていらっしゃいますよね

 竹内 買い物の間、お子さんを抱っこして待っていたり、犬も預かっています。

 −−犬? ああ、確かに中には入れませんものね(笑)。警備員さんは、もう長くお勤めなんですか

 竹内 6年ぐらいかな? だからお客さんのことなら、ぼくの知らないことでも、なんでも知っています(笑)。うちは接客が一番大切、と常々思っています。店内はオープンキッチンでお客さんと距離が近いので、よく声をかけてもらうのですが、そのときは作業の手を止めても相手をしてほしい、と常々スタッフにも話しています。今はスタッフ一人一人にお客さんがついてきたんです。

 −−美容院みたいですね

 竹内 はい、もうそれがうれしくて。バレンタインのときもそれぞれが、チョコレートをいただきました。

 −−パン屋さんにチョコレート…なんだかますます珍しい。ところで今年はどなたが一番でしたか?

 竹内 それが、だんとつの一番は警備員さんなんですよ(笑)。

【プロフィル】竹内久典

 たけうち・ひさのり 大阪府出身。定時制高校に通いながら堺市内のケーキ店で修業をスタート。パン職人になろうと製パン専門学校を経て、関西のパン屋、レストランなどで働く。平成12年、「ブランジュリ タケウチ」をオープン、3年後に現在の場所へ移転。著書に「ブランジュリ タケウチ どこにもないパンの考え方」「ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ」(いずれも柴田書店)。

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